
音楽は巡り、人生に刻まれる。
Dragon Ash x Age Factoryが証明した「M bit Live」の真価
今はスマートフォン1台でいくらでも新しい音楽と出会うことのできる時代。だが、人生を共に歩むような、心に刻まれる1曲との出会いは決して多くはない。そんな時代に、「生きていく 好きな曲がふえていく」というスローガンを掲げた「M bit Project」のメイン企画、「M bit Live」は始動した。

それから約2年の間に、初回を飾ったOriginal Love Jazz Trio x STUTSをはじめ、UA x アイナ・ジ・エンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION x Omoinotake、Awich x iri、HY x マカロニえんぴつと、世代やシーンの境界線を超えたアーティスト/バンドの共演、コラボレーションを実現。各回の盛り上がりを収めたアーカイブ映像がYouTubeで公開されている。
「M bit Live」は、世代やシーンにとらわれることなくアーティスト/バンドを掛け合わせることで、一人ひとりに新たな音楽との出会いを届けることを目指すイベントだ。これまで、そして今回のステージが、オーディエンスにとって「かけがえのない1曲」と出会う瞬間になっていたなら――プロジェクトとして、これ以上の喜びはないだろう。
音楽との“特別な出会い”が生まれる場所 「M bit Live」
そんな「M bit Live」の第6弾が、2026年3月2日(月)、東京を代表するライブハウスとして長い歴史を築き上げてきた恵比寿LIQUIDROOMにて開催。共演するのは、日本を代表するモンスターバンド・Dragon Ashと、奈良から全国にその名を轟かせる3人組ロックバンド・Age Factory。世代もシーンも絶妙に異なっているが、楽曲はもちろん、どちらも圧倒的なライブパフォーマンスが強く支持されるバンドだ。

Dragon AshのKjもライブ中のMCで触れていたが、ツーマンライブというのは一つのバンドのライブを長時間にわたって堪能できるワンマンライブよりも集客面で苦戦することが少なくない。しかも、Dragon AshとAge Factoryはこれまでフェスなどの大型イベントを除いて初の共演となる(なお、新宿から恵比寿にLIQUIDROOMが移ってから、Dragon AshがLIQUIDROOMのステージに立つのは初!)。加えて、開催されるのは平日、月曜日だ。だが、この日の「M bit Live」のチケットは即日ソールドアウト。どのようなライブになるのか、どんな音楽と出会えるのか、という観客の期待値は非常に高いということだろう。

ここからはライブのハイライトをいくつかお届けしよう。
Rage Against the MachineがBGMとして響く中、定刻を少し過ぎた頃合いで、ステージ後方のスクリーンでは、竹中直人によるナレーションと共に、これまでの「M bit Live」を振り返るオープニングムービーがスタート。過去のライブで結実したコラボレーションの様子が映し出され、今日は一体どんなコラボレーションが観られるのか、期待感でLIQUIDROOMのフロアがざわつく。

Dragon Ashが体現した、音楽の意味
Dragon Ashのライブが始まると、ざわつきが歓声へと変わる。その後、繰り広げられた熱狂的なライブのハイライトは数えきれないが、注目すべきはセットリストが最近の別のライブの多くとは違っていたことだろう。“百合の咲く場所で”や“Fantasista”といったバンドの代表曲を含みつつ、<路地裏のステージ>を<恵比寿のステージ>と歌詞を変え、<当て所なく変化して 出逢えた共演者>とこの特別なツーマンライブのことを歌っているかのような“Entertain”。さらには、<人混みの中一人一人にあるテーマソング日々の希望に>と音楽への愛を爆発させる“Jump”など、意識してかどうかはわからないが、「M bit Live」のスローガンを体現するかのごとき選曲だったのだ。

また、期待していたコラボレーションも実現。「友達呼んでいい?」とAge Factoryの清水英介を呼び込んで熱演された“Bring It”でフロアが沸騰したことは言うまでもない。

Dragon Ashは<Music goes round / The beat goes on, make a loud sound / Such freedom is not to be found / Let me blow your mind for a while / I want you to realize that you're alive(音楽は巡り続ける/ビートは止まらない、大きな音を響かせよう/こんな自由は他にはない/しばらくの間、君を夢中にさせてくれ/君が生きていることを実感してほしい)>と「M bit Live」のテーマとも言える、音楽と人生の関係をエモーショナルに歌い上げる“A Hundred Emotions”で、Age Factoryへとバトンを繋いだ。

Age Factoryが見せた覚悟と呼応
再びRage Against the Machineが転換中のBGMとして響き(KjもRage Against the MachineとWu-Tang ClanのコラボTシャツを着ていたのは偶然だろうか?)、「俺の息子が日本で一番好きなバンド」とKjから紹介されたAge Factoryがオンステージ。サポートギターも含む4人は、そんな紹介に応えるように気迫のこもったライブを展開していく。

そして、彼らもこの日のセットリストは特別なものを用意していたと言っていいだろう。Age Factoryはアンコールも含めて15曲披露したが、昨年リリースされたばかりの『Sono nanika in my daze』からは“海に星が燃える”と“3”の2曲のみ。もちろん、こちらも「M bit Live」のステージであることをどれだけ意識したのかはわからないが、プレイされた曲の中でもとりわけ<歌うsong your favorite song/あの頃と同じのまま/歌うsong your favorite song/イヤフォンの中ループするメロディ>と心に刻まれた曲について歌う“SONGS”は、このスペシャルなツーマンライブに、ピッタリと重なっていた。

「好きな曲がふえていく」その瞬間
アンコールではKjが登場し“GOLD”でこの日2度目のコラボレーションも披露された。なお、バックステージインタビューでわかったことだが、Dragon Ashのライブで清水がどの楽曲でコラボするのかは清水がKjのスタジオに遊びに行った際に決まり、Age FactoryのライブでKjが清水がどの楽曲でコラボするのかは前日にLINEで決まったそう。おそらく、事前の準備などはかなり簡単なものだったと予想できるが、それでこれだけの熱量でライブでプレイできるということは日頃からお互いの作る音楽を聴いていることの証明だろう。

つまり、日常的にバンドマンとして動向を気にし合っていたであろう両者の中に、結果として心に残る楽曲が刻まれていたということだ。まさに「生きていく 好きな曲がふえていく」という「M bit Project」のスローガンをどちらのバンドも体現しているのがわかる1日だった。
きっと会場に流れていたRage Against the Machineと出会った若き日のDragon AshのKjのように、Age Factoryと出会ったKjの息子さんのように、何よりDragon AshとAge Factoryのように、この日のライブで人生を共に生きていく1曲と出会ったオーディエンスも少なくないはずだ。次の「M bit Live」では、どんな音楽との出会いがあなたを待っているだろうか。

Photo:俵和彦
Text:高久大輝
Information

M bit Live #6
2026.3.2 MON@LIQUIDROOM