カードローンの複数利用時の注意点|信用情報や審査に与える影響とは
この記事の監修者
小林 恵
貸金業務取扱主任者、日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー、DC(企業年金)プランナー
みんなのモビット担当
関西学院大学社会学部卒。情報通信関連の会社に勤務の後、貸金業務取扱主任者資格を取得。セミナー講師や家計相談を中心に活躍中。近年ではオンライン家計相談も開催するなど、幅広いお客様のマネーに関する問題を解決している。
2社以上のカードローンを同時に使う場合は、返済金額・返済期日・信用情報などについて正しく理解する必要があります。
現在利用中のカードローンの限度額が迫っており、より多くの金額を借りる必要が出てきている場合についても、覚えておくべき注意点が存在します。
今回の記事では、カードローンの複数利用にあたってのデメリットや注意点について解説します。
コラムの目次
カードローンは複数社からの借入が可能
複数社のカードローンへの申込や利用自体は可能で、実際に数社から借入をしている利用者の方もいらっしゃいます。
ただし、金融機関の定める審査に通過した方だけが融資を受けられるため、必ずしも借入ができるというわけではありません。また、貸金業者から借りられる金額には「総量規制」に基づく法的な制限が設けられている点にも注意が必要です。
複数借入している方の実態
カードローンは同時に複数社の利用が可能です。実際、JICC(日本信用情報機構)のデータによると、2社以上から借入をしている方は約359万人いるといわれています。
このように、複数の貸金業者からは借入できないというわけではありません。ただし、気を付けなければならない点もあります。以下で説明していきます。
複数社の審査に通過するためには返済能力が重要
カードローンの審査基準は金融機関ごとに異なり、その詳細は公開されていません。しかし、審査において重要なのは「返済能力」であり、融資可能かどうかはこの基準で判断されることとなります。
そのため、複数のカードローンに申込をした場合も、審査において「返済能力に問題がない」と判断されれば、複数社からの融資を受けられる可能性は十分にあります。
なお、返済能力に関しては収入の安定性が重視されるため、単純に年収が高い方であれば審査に通過しやすいという訳ではなく、下記の場合は審査において返済能力がないと判断される場合があります。
返済能力がないと判断される可能性のある要因
- 安定して継続した収入がない/収入が不安定
- 他社借入金額が多い
- すでに複数社から借入をしている
- 信用情報機関に滞納履歴などがある
返済能力の判断基準は金融機関ごとに異なりますが、年収だけでなく、職業属性や過去の取引・金融履歴などから総合的に判断されます。
カードローンを複数社で利用する際の注意点
カードローンの複数利用にあたっては、事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。
注意点を理解しないまま複数社の利用を続けると、ローンにおける様々なリスクが生じる可能性があります。
1.総量規制により借入できるのは年収の3分の1まで
複数の消費者金融から借入がある場合でも、すべての借入額の総額に、総量規制が適用されます。年収の3分の1までしか借りることができません。
- 総量規制
-
消費者金融やクレジットカード会社などを対象に設けられている法制度の1つです。返済能力を超えた過剰な貸付から消費者を守るために、「年収の3分の1を超える貸付の原則禁止」を定めています。。
そのため、すでに複数のカードローンを利用している場合や、新たなカードローンの申込を検討している場合は、「すべての貸金業者からの借入総額が年収の3分の1未満になるかどうか」を、自身でしっかり把握しておくことが大切です。
もし、すでに貸金業者から総量規制に抵触する借入をしている場合、「お金が必要な時に新たな融資が受けられない」といった問題が生じる可能性があります。
2.同時に複数社申込をすると審査の通過は難しくなる
カードローンは、同時に複数社の利用が可能です。しかし、複数社のカードローンに同時申込をすると、審査に通りにくくなります。
申込の履歴は個人信用情報に登録されています。そのため、同時に複数社に申込をすることによって、貸し手からみれば貸倒リスクの増加や犯罪行為の発生が懸念されます。結果的に審査に悪影響を与える可能性があるのです。
申込履歴は申込から少なくても半年間は登録されるため、過去に申込していた場合は、審査の可否に関わらず半年程度の期間を開けたほうが無難です。他社のカードローンに申し込む正当な理由があるようであれば、申込時にその旨を説明するなども必要かもしれません。
3.「審査が甘い」「審査は無し」などと謳っている金融事業者には注意する
「審査が甘い」「審査は無し」などと謳っている金融事業者には注意してください。
日本国内には数百社もの貸金業者が存在しています。その中には、あまり聞きなれない貸金業社もあるでしょう。大半の貸金業者は法に則って適正に営業活動をしています。
しかし、中には違法に融資をおこない、法外な金利を請求したり、厳しい取り立てをしたりする業者もあります。そのような業者の特徴としては、「審査が甘い」「審査は無し」など、誰でも審査に通るかのように見せかけて集客しています。
少しでも「怪しい」と感じる業者とは関わることのないよう、十分注意してください。
4.複数社への申込や利用の状況が信用情報として残り他の審査へ影響する
カードローンの申込や利用の履歴は、指定の信用情報機関に共有・登録される仕組みとなっています。
当然、複数社のカードローンを利用した履歴は、借入先の金融機関や貸金業者を問わず、いずれかの信用情報機関に登録されます(違法な金融機関の借入をのぞく)。
参考:お借入すると、借入金額などの情報が信用情報機関に提供されます|日本貸金業協会
この信用情報機関に登録された情報(=信用情報)は、金融機関が審査をする際には必ず照会がかけられます。カードローンをはじめ、クレジットカードや目的ローンなどの申込・審査においては、審査通過の可否を決定する重要な判断材料となります。
具体的には、下記のような例が信用情報機関に登録されている場合は、審査において「返済能力がない」と判断されるケースがあります。
審査に影響が出る信用情報の登録例
- ローンや分割払いの支払い遅延を起こしている
- 返済不能になり代位弁済がおこなわれた
- 自己破産や債務整理などの手続きがおこなわれた
事前にSMBCモビットのお借入診断をご検討ください
「すでに複数社から借入している」などの理由で審査に不安がある方は、事前に借入可能かどうかを診断してみるといいでしょう。
SMBCモビットの「お借入診断」であれば、生年月日・税込年収・他社借入金額を入力するだけで、簡易的に借入可否を知ることができるので、試してみてください。
複数のカードローンを利用するデメリット
複数のカードローンの利用には法的な規制はなく、申込にあたっても「他社借入がある場合は申込不可」といった制限を課せられるケースは少ないでしょう。
しかし、複数のカードローンを同時に利用することは、返済金額や返済日といった観点でデメリットとなりうる点があるため、事前に把握しておく必要があります。
1.毎月の返済額が増えてしまう
複数社からカードローンの借入をした場合、1社からの借入と比較して、毎月の返済額が増えやすくなります。
例えば、A社だけから借入をおこない、毎月1万円返済をしていたとします。その後、B社C社と契約して借入し、各社毎月5,000円の返済が必要となった場合、月々の返済額は「10,000円⇒20,000円」と倍増します。
カードローンに挙げられるメリットとして「毎月無理のない金額の返済ができる」という点がありますが、複数利用した場合はこのメリットがなくなってしまう可能性があります。
複数のカードローンを利用する場合は、1社利用時よりも月々の返済額が大きくなる点に留意しましょう。
2.費用の負担が大きくなる
複数社からの借入は、費用がかさんでしまう点がデメリットであるといえます。カードローンの利用で発生する主な費用は以下のとおりです。
カードローンで発生する費用の例
- 借入時のATM手数料
- 返済時のATM手数料
- 利息
ATMの利用手数料は110円〜220円程度です。借入件数が多くなると、その分無駄な手数料が発生します。この費用が毎月発生することを考えれば、結果として高額なATM利用手数料を支払うことになってしまいます。また、複数の借入はそれぞれに利息が発生します。
一つの業者からまとめて借入する場合と、複数社から少額ずつ借入する場合とでは、後者のほうが金は高めに設定されることがあります。
なぜならカードローンは借入額により、それぞれ上限金利が設定されており、限度額が大きくなるほど上限金利が低く設定されている傾向にあるからです。
そのため、複数社からの借入によって利息負担が大きくなる可能性がある点には注意しなければなりません。
3.複数の返済日を管理する必要がある
カードローンの返済日(約定返済日)は、基本的に各社が独自に設定しています。そのため、複数のカードローンで返済日が異なる場合、1カ月のうちに複数回の返済日が来ることになります。
複数の返済日を把握し、確実に返済をするというのは意外に難しく、引き落とし口座の管理やATMからの返済など常にチェックが必要で、手間がかかってしまいます。
また、月々の返済回数が多いことで「うっかり返済日を忘れる→返済遅延を起こす」といったエラーが生じやすいという問題もあります。
カードローンには「返済方法の利便性が高く、返済日が決まっているため管理がしやすい」というメリットもありますが、複数利用の場合、そのメリットも享受できなくなります。
4.カードローン以外の審査などへの影響が大きくなる可能性
複数のカードローンを利用している履歴は、信用情報機関に登録されます。
この登録された信用情報は、カードローンのみならず、以下のようなローンや割賦契約の審査時に照会され、審査の重要な判断材料とされます。
審査時に信用情報の照会がおこなわれるローンや契約(例)
- 住宅ローンなどの目的ローン
- クレジットカード
- スマートフォンの割賦契約(スマートフォン端末の分割ローン)
参考:CICが保有する信用情報|CIC
参考:信用情報について|JICC
参考:全国銀行個人信用情報センター運用状況|全国銀行協会
複数のカードローンを利用しているという情報が、審査において必ずマイナス要因になるとは限りません。
しかし、複数カードローン利用時の「他社借入件数・借入総額」といった情報が、審査において「返済能力に不安がある」といった判断材料となるケースもあります。
複数のカードローン利用が、他のローンや割賦契約の審査に影響する可能性があることは、十分理解しておきましょう。
カードローンを複数利用せずに問題を解決する方法
すでにカードローンを利用していて「現在の限度額では足りない」といった状況になった場合、新たに別のカードローンへの申込を検討する方は多いかもしれません。
しかし、「追加融資を受けたいのに、限度額が足りない」といった問題は、カードローンの増額申請で解決できる可能性があります。
1.すでに利用しているカードローンを「増額」する
カードローンの増額申請とは、現在設定されている借入限度額(利用可能枠)を増やすための手続きです。
増額には以下のようなメリットがあるため、基本的に他社のカードローンを新規で申込むより返済の負担が少なくなります。
増額のメリット
- 借入可能金額が増える
- 増額によって利用限度額が増えると、金利が下がる場合がある
- 返済先を絞れるため返済計画が立てやすい
- 複数のカードローンを利用するより返済管理をしやすい
増額申請は、カードローン契約者であれば、誰でも手続き可能です。ただし、増額にあたっては審査があり、審査を通過しないと増額は認められません。
審査の結果によっては、逆に利用限度額が下がってしまうケースもあるので、注意が必要です。
監修者コメント
小林 恵
賃金業務取扱主任者 みんなのモビット担当
カードローンは増額申込、あるいは複数のカードローンを利用のいずれにせよ、借入残高が増えるとその分だけ発生する利息も増え、完済までにかかる期間も長くなります。いずれの場合でも完済までの計画を立てたうえで検討してください。
2.おまとめローンを検討する
現在、複数社から借入している場合は、おまとめローンの利用を検討してはいかがでしょうか。おまとめローンを利用することにより、金利が下がったり返済管理の負担が減ったりするなどのメリットがあります。
3.クレジットカードのキャッシングを利用する
カードローン以外からの借入方法として、クレジットカードのキャッシング枠を活用する方法があります。
キャッシング枠が設定されているクレジットカードを所有していれば、改めて申込をしたり審査をしたりする必要がありません。すぐにでも借入が可能です。
もし、保有しているクレジットカードにキャッシング枠が設定されていないのであれば、改めて申込をする必要があります。また、キャッシング枠の設定に伴い、所定の審査が実施されるため、審査の結果利用できない場合もあるため注意してください。
よくある質問
Q.複数社のカードローンを利用する際の注意点はありますか?
A.1社から借りるよりも返済額が高くなってしまいやすく返済の管理が難しくなります。
ここまでご紹介している通り、複数社でカードローンを利用する際にはさまざまな注意点がありますが、返済金額にも注意が必要です。
基本的に適用される金利は借入額が高くなるほど下がるため、同じ金額であれば1社からまとめて借りられた方が、利息の発生や返済額の負担は抑えられます。
さらに、会社ごとに返済日が違うと、管理が難しくなり返済の遅れなどを招きかねないため注意が必要です。
Q.複数社のカードローンに申込をしても問題ありませんか?
A.審査で不利に働く可能性があるため、同時に申し込むのは控えましょう。
複数のカードローンへ同時に申込をしてしまうと、お金に困っている方だと判断されてしまいやすくなり、審査が不利に働いてしまう可能性があります。また、各社の申込履歴や、返済遅滞の情報については信用情報上で各社に共有されているため、なるべく1社ずつ申込をしましょう。
Q.お借入診断で「借入可能と思われます」と表示されれば確実に借りられますか?
A.確実に借りられるとは限りません。
お借入診断は、簡易的に借入が可能かどうか判断します。そのため、「借入可能と思われます」と表示されても、それは必ず借入できるということではなく、一つの目安と考えてください。
実際に申込した際に詳細な情報を提出し、その内容が審査された上で最終的に利用可能かどうかが判断されます。
ただし、「借入可能と思われます」と表示された場合は、実際に借入できる可能性があるということになります。そのまま申込手続きへお進みください。
Q.保証会社が異なるカードローンなら審査に通りやすいですか?
A.関係ありません。
カードローンを提供している金融機関の中には、保証会社が設定されている場合があります。しかし、保証会社の有無や会社の違いによって審査結果が大きく異なるというわけではありません。
複数社からの借入はデメリットもあるため注意が必要
複数のカードローンを利用することは、金利負担や月々の返済額も増えやすく、信用情報に登録されるため、可能であれば避けたいところです。
現在利用中のカードローンでどうしても限度額が足りない場合には、まずは増額申請を考えてみてください。それでも難しかった場合には、はじめて他社カードローンへの申込を検討しましょう。
SMBCモビットでは、すでに利用中の方の増額申請は「SMBCモビット公式スマホアプリ」、または「Myモビ」から手続き可能です。
ご状況に合わせて、最適な方法を検討してみてください。
監修者コメント
小林 恵
賃金業務取扱主任者 みんなのモビット担当
実際、すでに他社のローンを組んでいる状態でSMBCとモビットへの新規申込をされるお客様も、多くいらっしゃいます。その場合は、すでに契約しているローンの金額と合算しての判断になるため、不安な方は事前に「お借入診断」を試してみてください。